うんちく その3  Iot=ラズパイの出番?

世間の空気を見てると、Iotの検討でラズパイの話が出てくることが多々有ります。
さながら、Iotにはラズパイが必須と言わんばかりです。

確かにラズパイはコストパフォーマンスに優れた、良いコンピューターボードですが、
Iotに必須のものなのか?という観点から見ると、決してそんなことはありません。

しかし、世間の風潮がそんな状態になった事には、何か理由があるはずですよね。
それはたぶん、以下の2つの理由なのです。
  ①開発が やりやすい。
  ②インターネットに接続できる。

①「開発が やりやすい」

ラスパイはそもそも教育用のコンピューターとして産まれました。
ですから、開発環境は 最初からしっかり用意されていたわけです。
それに加え、多くのユーザー間の情報共有という面も侮れません。

②「インターネットに接続できる」

実はこれが結構重要なポイントだったのではないかと思ってます。
今でこそ、Iot用の通信手段というのは多様化しているので、
当方の「かんたんスマートモニター」のようにマイコンでもOKだったりしますが、
Iotの初期の頃は、有線LAN回線を使用してIot装置を開発することが多かったのです。
すると、LAN回線を通してインターネットに接続する能力が必須になるわけです。
これをマイコンで実装しようとすると、かなり大変な話。
そうとうな開発費を投入する必要があるので、
評価の為のお試しで、というわけにはいきません。
しかしラズパイであれば、即インターネットに接続できてしまうわけです。
なので、すぐに評価検討の為の試作品を作ることが出来たんですね。
もちろんインターネットに接続できるコンピューターボードというのは他にも有りました。
しかし入手性と価格の面で、ラズパイが圧倒的なアドバンテージを持ってました。
こうして、Iotの試作にラズパイが使われることが多くなったことから、
今の風潮が産まれた、と私は分析しております。
 
*** ほんとにラズパイでいいの? ***
多くのメリットを持つラズパイですが、当然デメリットも存在します。

①セキュリティ上の懸念

ラズパイにてインターネットに接続した場合、
インターネット側からもラズパイが見える形になります。
すると、ラズパイがハッキングを受ける可能性が出てきます。
WindowsPCならば、なんらかのセキュリティソフトを利用されているはずですが、
ラズパイの場合はリソースの面から、それがほぼ無理。
機能評価テスト用の試作機ならば さして問題にならないでしょうけれども、
製品として設置し、24時間無人稼動させるようなシステムの場合、
とても不安を感じるのが現状です。

②動作安定性の懸念

通常、皆さんがお使いのラズパイはSDカードベースで動作するものです。
しかしSDカードはデーターを一時的に保存するためのデバイスですから、
ハードディスク代わりの使用というのは 想定されていません。
なのでデーターが壊れる可能性が有るんですね。
ここでいうデーターというのはラズパイのシステムのことですから、
システムが壊れてしまえばラズパイは止まってしまいます。
普段が管理人が常駐していないような場所での連続運用では、
この点は結構問題になる可能性が有ります。
実はもう1点懸念がありまして、ラズパイはLINUXベースのコンピューターですから、
停止させる際には正規の手順によるシャットダウンが必要。
こうしないとシステムが壊れてしまう可能性があるわけですが、停電の際は?
東京都内だと停電のリスクは低いのですが、
郊外に出ると瞬時停電の可能性はグンと上がります。
何かしらの対策を施しておかないと、システム故障の懸念が高まるわけです。

③消費電力の問題

商用電力を使用しているなら特に問題にならない話ですが、
太陽電池等を使用した省電力システムの場合には、やっかいな話になります。
ラズパイに限らず、Linuxが動作するようなコンピューターボードは、
それなりに電気を食います。
必要時だけ起動するようなシステムにしたくても、
Linuxベースのコンピューターですから起動/シャットダウンは それなりに面倒。
なので大抵は連続起動前提のシステムになっていると思われます。